下請法と法務の役割

ニュースで報道されているように、マツダ株式会社に対して、令和3年3月19日付にて公正取引委員会から下請代金支払遅延等防止法(以下下請法)に基づく勧告がなされています。

当該勧告の内容からだけでは、残念ながら事件の詳細な内容についてはわかりません。

また、勧告に関連して、「取引実績を基に算出される手数料と称する金銭を、当該金銭に対応する何らの給付または役務を提供することなく負担させていたこと」、また、「当該支払い時に、自社が負担すべき振込手数料を支払わせていたこと」などが、違反事例の概要として報道発表されています。

 違反の内容としては、違反例のサンプルとして例示されていても不思議のないほど、典型的な違反事例と思われ、下請取引に関係したことのある人ならば、信じられないというのが正直なところではないでしょうか。

大企業ゆえに、下請法に関しては、下請事業者と取引する購買部門に一任され、法務部門が関与していないということなのかもしれせん。

下請取引の調査

 下請法に関する定期的な調査は、公正取引委員会および中小企業庁によって行われています(申告があった場合など、不定期に行われる場合もあると思われます)。

なお、多方面からの情報の収集を可能とする目的からか、「親事業者との取引」、そして「下請事業者との取引」の両面から各種の調査が行われているうえ、公正取引委員会と中小企業庁には、いつでもアクセス可能な相談・申告窓口が置かれています。

さらに、下請法違反の恐れのある事例に関して、インターネットによる申告も可能となっています。

 下請法の対象となる取引は、事業者の資本金の額と取引の内容によって定められており、法務問題として、対応がそれほど難しいものではありません。

公正取引委員会によって、下請法に係わる講習会なども定期的に開催されていますので、法務部門に配属された新人などを、研修の一環として参加させるケースも多いのではないでしょうか。

 下請法の調査は、無作為に実施されているようですが、グループ会社などがいくつもあると、毎年グループ会社のどこかに調査書が届くような調査であり、決して珍しい調査ではありません。

貴社に、下請法関係の調査書が届いた場合、該当する取引の有無、内容や金額等、購買部門や経理部門など関連部門と協力して調査を行い、早急に回答書を作成しなければなりません。

 まずは、社内のある部門に調査書等の書類が送達された際に到達したこと(社外からの通知等では到達日や時間の管理が重要となる場合がある)を、法務部門のような一定の部門が認知できるような体制が必要となります。

そして、下請法の調査書であれば、到達から送付完了までの管理はどの部門が行うのかなど、受領から回答書の送付までの流れを、事前に定め社内に周知させておくことが重要です。

勧告を受けたら

 また、勧告を受けた際には、いくつかの措置を講じなければならないことが定められています。

そのなかには、今回の事例のように、「法務担当者による下請法の遵守状況についての定期的な監査」「役員および発注担当者に対する下請法遵守のための定期的な研修」などが含まれていますので、早急な対応が必要とされます。

 勧告の内容から見ても、下請法の違反を犯さないためには、法務部門の関与は必然と考えられているのではないでしょうか。